1997年、イタリア DIM SPORT社により開発されたRAPID(ラピッド)は、手軽に装着ができ、必要に応じてキャリブレーション(セッティング)も可能なディーゼルターボ車専用、高性能モジュールです。
ディーゼルターボエンジンの用途は多岐に渡り、乗用車、商業車はもとより、運搬・輸送用トラック、農業用トラクター、船舶など、様々な産業に於いて使われております。
エンジンのパワーアップを図る目的のディバイス(装置)は、元来チューニングアイテムとしての認知が優先されがちですが、輸送効率、生産効率を図るトルク重視型に設計されたラピッドは、他社類似製品とは一線を画するものです。
パワーアップの数値だけに捕らわれず、安全に且つ効率を求めた製品がDIM SPORT社が世に送り出すRAPIDであり、例えば輸送トラックであれば、低速域からのトルクの向上が燃費向上につながるケースも少なくありません。 燃費の向上は、各分野に於ける採算性を大きく引き上げ、その恩恵は多大なものと化す可能性があります。
ラピッドの目的は、単なるチューニングに留まらず、産業界に於いて大きく飛躍すべき足掛かり的なアイテムであることを、先ずご案内いたします。
ラピッドは、汎用品ではありません。 一般的な汎用ディバイスは配線処理が非常に手間であり、取り付けミスによるダメージが懸念されるところです。
本体の取り付け位置こそ、エンジンルーム内の適宜ポジションとなりますが、基本的な配線はカプラーオンです。 インジェクターへの割り込み(BHV型)にせよ、燃料レールの圧力センサへの割り込み(LPI型)にせよ、全て車種専用のコネクターが付属されていますので、面倒な配線処理は最小限度に収めています。
このような煩雑な配線処理はありません。車種専用になっているのは、配線コネクターだけではありません。 車種専用の基本パラメーターも販売時に入力されていますので、現場では適格に取り付けるだけでラピッドの性能をお楽しみ頂けます。
入力されているパラメーター(データー)は、DIM SPORT本社あるいはDIM SPORT JAPANで実証されている内容になります。 最高のパフォーマスデーターではなく、安全マージンを残した低中速域のトルク向上を狙った、効果的なパラメーターが基本となります。
全体的なパワーアップよりも、低速、中速域からのパワー・トルクを向上させることが、最も重要なポイントです。
グラフはRapidの基本理想とする性能曲線ディーゼルエンジンは、本来高回転型としての設計ではなく、低速域からのトルクで車を押し出すタイプのエンジンです。
Rapidはその特性をより活かす為に、設計されているアイテムです。
ラピッドの設置場所は、基本的にエンジンルーム内になります。 エンジンルームは、熱・振動・水など過酷な状況下となり、このシチュエーションで確実に機能させるには、自動車専用のモジュレーターとしての耐久性が要求されます。
メタルフレーム構造を採用し、堅牢且つ防水仕様になっています。
内部にはシリコンを使い、基盤への衝撃を緩和させる構造と防水加工の両立を図っています。
自動車用に製造されたコネクターを採用し、電導性、耐久性を向上させています。
他社製品に見られるような汎用コネクターは使用されておりません。
この番号はDIM Sport社の本社で管理され、出荷先、出荷時期等が分かるシステムになっています。
また、内部のマイクロプロセッサーには、上記IDの記録はもとより、使用履歴(例:パラメーターの変更履歴、回数など)もログファイルとして追う事ができます。
販売後の製品のルートや使用環境も判別できる仕組みを整えている製品です。
ラッピドには、販売時に基本パラメーターが入力されていますが、必ずしもパワー重視のパフォーマンスではありません。 本来の目的が低中速域のトルクを狙った、まさに乗りやすさをより求める仕様が、DIM社の提案する基本パラメーターなのです。
しかし、物足りなさや、チューナー毎の考えを反映させる為の、カスタマイズ(再セッティング)も別売のコンソールを使いキャリブレーションが可能です。 ラピッドキャリブレーションは自身で想定するセッティングに有効なツールだけではなく、ニーズに対応が可能であるとう観点から総合的にも販売価値のある商品と言えます。
ラピッド本体に接続されているハーネスから分岐にされている小さなコネクターがあります。このコネクターにコンソールを接続します。
このコネクターは、コンソールを外した後は、基本的にフリーですが、オプションのワイヤレスリモコン用ユニットの接続コネクターとしても使用できます。
PCは不要です。特に複雑なパラメーター設定の機能はありませんが、燃料の増減、噴射タイミングの変更、効き出しのポイント、効き終わりのポイント、アクセル反応速度などを
コンソールのプッシュボタン使い操作します。
コンソールのプッシュボタンを使い、コンソール本体のデジタル表示数値を変更します。
ツールは他に必要がありません。
ラピッドの種類により、ブッシュボタンの内容が変わりますが、基本的な操作手順は同じです。
また、走行中にセッティングの変更も行うことができますので、試走を繰り返す中で各自のパラメーターを作り出す事も可能です。
ラピッドには幾つもの種類があります。
それぞれの機種により接続方法が異なり、コンソールによる設定方法も異なります。
ここでは日本市場に投入されているBMWを中心に設定されているBHV型ラピッドの概要を説明します。
各インジェクターのコネクターに割り込むタイプです。
他には、バッテリー電源とボディアースになります。インジェクターに割り込むタイプですが、実際の作業は比較的容易です。
BHV型は噴射時期の変更を操作するタイプです。 ディーゼルサイクルでは、発生するエンジン出力は噴射される燃料の量と正比例だと仮定します。 コモンレールの場合は、噴射装置の開弁時間の長さで燃料量が決定されます。 この噴射タイミングは、エンジン負荷と回転数に基づき電子コントロールユニットで制御されています。BHV型ラピッドではこの噴射タイミングを操作することで、エンジン出力をコントロールします。
最も適合頻度の高いタイプがLPI型です。
コモンレールの燃料デリバリー部、圧力センサに割り込むタイプです。
LPI型は圧力センサを操作するタイプです。 ディーゼルサイクルでは、圧力から演算された燃料噴射量とエンジン出力(回転数)と正比例だと仮定します。 PLI型ラピッドではこの噴射量を操作することで、エンジン出力をコントロールします。
オプションのワイヤレスリモコンを使い、ラピッドの機能を室内よりON/OFFさせる事ができます。 OFFモードの場合は、通常状態(ノーマル状態)です。 また、コンソールによってもON/OFFを切り替える事が可能です。 ラピッドの配線は、純正オリジナルにパラレル(並列)に接続されているために、ラピッドが機能していない場合(OFF時)は、ラピッドが装着されていない状態(ノーマルモード)と同じ状態になります。 OFFになっても、エンジンが始動しない様な事はありません。